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電通クリエーティブXの「リアル」を届ける

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クロスは、慶應義塾大学SFC研究所の産学連携プロジェクト「次世代映像コンソーシアム」に2019年10月1日から参加し、映像コンテンツの企画・演出力とコンソーシアム構成メンバーが持つ8K映像制作における豊富な知見・経験を掛け合わせ、大型映像コンテンツのソフトウェア開発環境の普及と人材の育成を推進し、映像の新しい可能性を模索しています。

今回、次世代映像コンソーシアムが主催する、映像表現の可能性を追求する新しい映像アワード「MADD. Award 2020」に応募したディレクター2人に、実際に制作した大型映像作品や、大規模映像コンテンツの未来とディレクターの役割について聞きました。

定松功佑(さだまつ・こうすけ)|ディレクター

定松功佑(さだまつ・こうすけ)|ディレクター

2001年、電通テック(現・電通クリエーティブX)に新卒入社。バスキュールへの出向を経て、現在、CREATIVE Dept. ディレクションチームに所属。

加納美帆(かのう・みほ)|ディレクター

加納美帆(かのう・みほ)|ディレクター

2013年、電通クリエーティブXに新卒入社。大阪で約6年勤務した後、2019年4月に東京本社へ異動。現在、CREATIVE Dept. ディレクションチームに所属。

ワークショップや勉強会での気づき

ーー まずは、「MADD. Award 2020」に応募されたキッカケを教えてください。

定松:ディレクターが所属するディレクションチームでは、テレビCMやオンライン動画にとどまらず、自身の領域を拡張していこうとしています。その一環で、大型映像に興味のあるディレクターが「MADD. Award 2020」に応募することになりました。

僕自身、もともとテレビCM以外の演出に興味があって、過去に観覧者参加型のインタラクティブなプロジェクションマッピング映像や、野球場のオーロラビジョンに流れる選手紹介ムービーの企画演出に携わったこともあるので、今回も面白そうだと思って参加しました。

加納:私は、大型映像のリテラシーはゼロだったんですけど、声をかけてもらったので、やってみようかなという感じで参加しました(笑)。

ーー 大型映像の勉強会やワークショップに参加されたんですよね。

定松:そうですね。クロスと同じく、次世代映像コンソーシアムに参加するアストロデザインさんにお邪魔して、8Kカメラや8Kモニターについての説明を受け、150インチくらいの映写室で8Kコンテンツを体験する機会をいただけましたし、あとはMADD. Awardが主催する「大型映像制作講座」に参加しました。

加納:「8Kカメラで撮る映像はとにかくキレイ」と聞いていて、実際に映像を見ると、近くのものも、遠くのものも、全体がハッキリ見えることに驚きました。私たちが普段キレイと思っているものとは少し違うというか“リアリティ”という言葉があっている気がして、花や虫、海や川のような自然の風景にとても向いていると思いました。

それと、勉強会の講師の中に70mmフィルムで映画を撮影されていた方がいらっしゃったのにはビックリしました。70mmフィルムは8K並みの情報量を持っていることを学んで、8Kって新しいものに思うんですけど、よくよく考えれば映画も大型映像ですし、昔からあるものと同じなんだっていう発見がありました。

定松:普段のCM現場で8Kカメラを使う機会がありませんが、将来的には8Kカメラや16Kカメラで撮る仕事が増えてくると思うので、先取りして経験することができて良かったです。

テーマは“極大(Massive)と極小(Miniscule)”

ーー 「MADD. Award 2020」に応募された作品について教えてください。

加納:「MADD. Award 2020」の応募テーマが“極大(Massive)と極小(Miniscule)”だったので、線香花火の小さな火の玉を大きく撮ってみようと思ったんです。以前、打上花火を目高で見る機会があったんですけど、その時の臨場感がすごかったんです。線香花火を8Kで撮れば、似たような臨場感が得られるかもしれないという実験作品です。

個人的には、パチパチしているシーンも良いんですけど、火が消えて燃えカスになっていく瞬間が好きで。8Kカメラはダイナミックレンジが広くて、明るい部分から暗い部分までしっかり撮れるので、火が消えていく時のグラデーションがとてもキレイに撮れました。

それと、映像と連動するスマートフォン作品も制作しました。線香花火の手持ち部分がスマートフォン画面に表示されていて、タップすると、火の玉の揺れにあわせて振動する作品です。

『HANA-BI』 企画演出:加納美帆 撮影:岡田邦彦

定松:僕は、街並みを逆さまに撮った作品を応募しました。

大型映像は、見るのではなく体感するという部分が特徴です。“極大(Massive)と極小(Miniscule)”というテーマだったので、大きな映像を見たうえで、自分自身が小さく感じるようなことをしたいと思って。街並みの広い画に、違和感を感じてもらうために逆さまに撮ってみたという作品です。

『Reverse City』 企画演出:定松功佑 撮影:岡田邦彦

定松:クロスからは僕たち2人以外に、ディレクターの洞内広樹も「INFINITY CLOCK」という作品を応募しました。

作品コンセプトは「時間」です。起点も終点もわからず、無限に”極大”なものでありながら、それを捉えようとすると無限に”極小”になってしまう、まさに極大と極小が同居している概念であり、映像というメディアはまさに時間を伴って成立しています。

そこで、人間が「時間」を認知するために発明した時計を用い、解像度が高い8Kを活かせるドロステ効果(画像の解像度が許す限り果てしなく描かれる)で表現されています。

『INFINITY CLOCK』 企画演出:洞内広樹  撮影:岡田邦彦

大型映像コンテンツの未来とディレクターの役割

ーー テレビCMやオンライン動画の企画演出とは異なる部分はありましたか。

定松:僕が思う一番の違いは、メッセージの有無です。今回応募した作品は、何かを言葉で伝えたり、ストーリー仕立てで考えたりする必要がなく、普段の仕事よりも表現方法が自由でした。映像を見た人に“極大(Massive)と極小(Miniscule)”というテーマを理解してもらうのではなく、どう体感してもらうかに振り切って考えることができました。

加納:私はつい、意味を持たせなきゃ、オチをつくらなくちゃと、こねくりまわしちゃうタイプなんですけど(笑)。そういったことをリセットして、大型映像は素材勝負というか、8Kの良さを生かすにはSimple is bestと意識して考えました。

作業面でいうと、8Kはデータ量が多いので、通常の動画制作でレンダリング(映像の書き出し)に時間がかかりました。今回は自分で編集をすることが前提だったので、カット割りをせず、撮りっぱなしの素材にしましたが、もっとやれることはたくさんあると思います。

ーー 最後に、大型映像コンテンツの未来とディレクターの役割について教えてください。

加納:大型映像の魅力は、やっぱりディテールを見せられることです。テレビCMの現場でも一部取り入れられると面白いなと思います。たとえば、高温の油で揚げる唐揚げのジュワッとした瞬間を8Kカメラで撮れば、これまでにないジューシー感を表現できるツールになりますよね。

定松:画質がSDからHDになったり、スマホやVRで映像が見れるようになったりしたように、テクノロジーが進化することによって今まで見たことのない映像が作れます。大型映像は今、ありのままを高精細に見せる表現が主流ですが、今後普及していったら、ディレクターの視点や企画演出力を活かして人を振り向かせる、人の心を動かす大型映像を企画制作する機会が増えてくると思います。

ーー ありがとうございました!

現在、東京都現代美術館で開催中の「おさなごころを、きみに」展にて、MADD. Award 2020応募作品のダイジェスト版をはじめ、様々な作品が展示されています。かつてこどもだった私たち―大人が忘れてしまったクリエイティブな「おさなごころ」を思い起こし、メディアテクノロジーによる作品や映像を通して、こどもと大人が一緒に楽しめる展覧会です。ご興味のある方は、ぜひ足を運んでみてください。

イベント概要

会期
2020年7月18日(土)- 9月27日(日)

休館日
月曜日(8月10日、9月21日は開館)、8月11日、9月23日

開館時間
10:00-18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)

観覧料
一般1,300円 / 大学生・専門学校生・65歳以上1,000円 / 中高生800円 / 小学生以下無料
※ 小学生以下のお客様は保護者の同伴が必要です。
※ 身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方と、その付添いの方(2名まで)は無料になります。

会場
東京都現代美術館 企画展示室 3F

※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。

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