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CMディレクター・洞内広樹が脚本・監督を務めた短編映画『GHOSTING』(ゴースティング)が、オムニバス映画『その瞬間、僕は泣きたくなった-CINEMA FIGHTERS project-』の1編として、2019年11月8日に全国で劇場公開されました。

「小学生で映画監督になることを決めた」と語る洞内広樹に、CMディレクターとしてキャリアをスタートした理由や、映画監督を経験する前後の変化をインタビューしました。

洞内 広樹(ほらない・ひろき)|ディレクター

洞内 広樹(ほらない・ひろき)|ディレクター

2008年、電通テック(現・電通クリエーティブX)に入社。2018年6月、社外活動で制作した短編映画『東京彗星』がショートショート フィルムフェスティバル&アジア2018でCinematic Tokyo部門優秀賞、東京都知事賞を受賞。

一日も早く監督の仕事をしたかった

―― いつ頃から映像に興味を持ち始めたんですか。

洞内:きっかけは、小学校6年生にの時に観た『タイタニック』です。映像のダイナミックさに圧倒されて、思いきり感情が揺さぶられました。「監督になって映画をつくろう」と心に決めて、映画研究部がある高校の付属中学に進学しました。

中学時代は文化祭のクラス発表で映画をつくったり、高校時代には自主製作映画祭の「インディーズムービー・フェスティバル」に作品を応募したところ、ありがたいことに入賞することができました。参加者のほとんどが大人や専門学校生でしたし、何より審査員が一般の方々だったので、とても嬉しかったですね。

―― 大学は国際関係の学部へ進まれていますが、芸術系の学部は考えなかったんですか。

洞内:高校の途中までは、映画監督を志望する人が多い芸術系の学部に行くんだろうなと、漠然と思い描いていました。ただ、進路選択の時期が近づくにつれて「ずっと映画にしか取り組んでこなかった自分に面白い映画を撮れるのか」というギモンがふつふつと湧いてきて。留学をして、視野を広げようと思って、国際関係の学部を選びました。

大学2年生の秋、ボストン大学に5ヵ月ほど短期留学しました。クラスメイトにはたくさんの国籍の人がいて、この時に初めて「いろいろなバックボーンを持つ人がいる」ことを実感しました。同時に、「価値観が異なっても、映像をとおして人をつなげたいし、つながれる」と思うようになって、今も変わらず、僕の映像づくりのベースになっています。

―― CMディレクターとしてキャリアをスタートしたのはなぜですか。

一日も早く監督の仕事をしたかったので、他の業界と比べてアシスタントの期間が短いCMディレクターを選びました。当時のテレビCMは1秒あたりの予算がハリウッド映画並みでしたし、好きな映画監督がCMディレクター出身だったということも後押しになりました。

いま思うと、CMディレクターとしてキャリアをスタートしたのは正解でした。会社に所属しているので、自分があまり知識を持っていない商品や自分の好みと違うテイストの案件を担当することがあります。こういった仕事に真正面から向き合ってみると、これまで思いつかなかった演出方法が浮かんだり、好きなことからは入ってこないインプットがあったりして。普段使わない筋肉を鍛えられるので、自分の可能性を広げられると思います。

会社にいるから築けたつながり

―― 全国公開された『GHOSTING』は、どういった経緯でオファーがあったんですか。

洞内:3年前、短編映画の企画コンペティション「MOON CINEMA PROJECT」でのグランプリ獲得をきかっけに、社外活動として『東京彗星』の製作がスタートしました。

映画完成後、ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2018に応募したところ、幸運にも受賞でき、その時のつながりがきっかけでCINEMA FIGHTERS projectからオファーをいただき、会社として受注、製作することになりました。

発注主がいる映画製作は初めてでしたが、「映画をつくれる!」という気持ちのほうが強かったです。今は、次のオファーが届くかどうか、そっちの不安が大きいですね(笑)。

―― 製作体制はどうされたんですか。

洞内:社内のプロデューサーであり、先輩でもある小野史之さん、齋藤和大さんに相談しました。入社したときから「映画をつくりたい!」と言っていて、応援してもらっていたので、今回お二人にはプロデューサーとしてガッツリ入ってもらいました。

社外では、『東京彗星』でもお世話になったマツオ計画のマツオさんをはじめ、撮影機材やスタッフを運ぶ車両、撮影素材をまとめて1つの映像に仕上げる編集など、CMの仕事で普段お世話になっている方々にも協力いただいて、完成にこぎつけることができました。

映画は、監督や出演者にスポットが当てられることが多いですが、たくさんの人のサポートがあってこそです。特に今回は、仕事を通じてプロフェッショナルな方々と長く、太くつながっていけることは、会社に所属するCMディレクターならではだと感じました。

CMで鍛えられた“イメージを凝縮する力”

―― CMと映画、同じ映像ですが違いは何でしょうか。

洞内:CMの場合は、クライアントがいて、ブランドや商品・サービスがあって、認知度向上やブランディング、購買促進などの目的があって、いろいろな条件と決まった着地点(ゴール)が存在します。

一方、映画の場合は、自分で着地点を探す必要があります。自分がつくる映画をとおして、見てくれる人に何をメッセージしたいのか、どういう気持ちになってほしいのか、映画のテーマを自分の内側から見つけ出す作業からスタートします。

映画はCMと比べると自由度が高いんですが、メッセージやテーマを見つけ出す作業はとても難しくて、根気が必要です。ここを怠けてしまうと、つまらない映画になるんで、必死に考えます。

―― 映画監督を務める中で、CMディレクターとしてのスキルや経験は役立ちましたか。

洞内:短時間の中に“イメージを凝縮する力”はとても役に立ちました。ストーリーの要約であるプロット自体は、90分くらいのものができていたんですが、短編映画の時間は20分程度。一般的な映画ととても比べると、とても短いです。テレビCMという15秒の世界で鍛えられていなかったら、ダラダラとした、内容の薄い作品になっていたかもしれません。そういう意味で『GHOSTING』は、非常にソリッドなものになっていると思います。

―― 最後に、映画監督を経験する前後で、意識の変化がありましたか。

洞内:「見る人の体験をデザインする」ということを意識するようになりました。それと、自分が持つ情熱と技術すべてを注ぎ込んで“自分の作品”に取り組んだことで、会社の仕事も映画と同じくらい当事者意識を持って取り組もうと、一層思うようになりました。

CMと映画を行き来することで、それぞれを客観的に見られるので、CMの良いところを映画に活かす、映画の良いところをCMに活かすということも、自分の強みのひとつにしていければと思います。

―― ありがとうございました!

※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです。

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